今回は残業代に続き「現場で勘違いされてるシリーズ」です。
現場でよく聞く話ですが
「試用期間3ヶ月だから3ヶ月以内だったら解雇しても何も問題ないよ」
えーっと
問題あります(笑)
なんでこういう話が浸透してるのかなと思うのですが
これはおそらく「解雇」と「解雇予告」がごっちゃになっていて
さらに「解雇予告」と「契約の解除」がごっちゃになってるんですね。
民法上期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員)の
解約の申し入れは二週間前にする必要があります。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」 民法 第六百二十七条第1項
使用者側からの解約はこの条文を修正する形で労働基準法に解雇予告の定めがあります。
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。」 労働基準法 第二十条第1項
そして労働契約法に解雇の定めがあります。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 労働契約法 第十六条
まとめると
「解雇は客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合、30日前に予告して(または30日分の賃金を支払って)解雇できる」
という話になります。
なんかふんわりした感じですね(笑)
お気づきの方もいると思いますが、上記の条文の中に「試用期間」という言葉はありません。
試用期間というのはこのふんわり部分を使って会社が定めたものにすぎません。
ですから試用期間中に辞めさせる理由をはっきり就業規則などに書いてなくて
本人がその理由に当てはまらないのに解雇された場合は
裁判されると会社が負けるという話になるわけです。
また試用期間中でも解雇予告手当は必要になります。
まあ中小企業では社長がいらないといったら
会社に居られることはあまりないと思いますし
試用期間中に解雇されても裁判までもっていく人は少ないと思いますので
こういう試用期間の話もまかり通っているのではないかなと思います。
大企業の場合はコンプライアンスがきっちりしているので
この規定によりなかなか解雇するのが難しいという話ですね。
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